二十四節気と七十二候

「立冬」暦のうえでは冬の始まりです

こんにちは。だんだんと冷え込みが強くなり、ストーブやブランケットが恋しい季節になりました。

二十四節気では、今日11月8日は「立冬」です。

暦のうえでは冬の始まりです。暦便覧では「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と説明されています。「もう冬ですよ」という意味ではなく「これから冬らしく寒くなっていきますよ」というのが、立冬なんですね。北国から初雪の便りが届いたり、冬の季節風が吹き始めますが、実際に多くの地域ではまだまだ秋らしい気配です。

秋分と冬至の中間で、昼夜の長短を基準に季節を区分する場合、今日から立春の前日までが冬とされています。11月上旬の平年の最低気温は10℃前後。

さてここで気になるのが、観葉植物など寒さが苦手な植物の管理です。

(写真左:コーヒーの木 写真右:フランスゴムの木)

「観葉植物って、いつ屋内に入れたらいいの?」

よくご質問を受けます。客観的な指標として、その植物の越冬可能な最低気温を調べ、天気予報や実際の戸外の気温を見て判断するのがもっとも安全です。

しかし、その植物の最低気温が5℃となっていても、綺麗に冬越ししたいのであれば10℃を切るころから屋内へ移動させてやりたいところです。最低気温はあくまでも「枯れはしない」という温度であり、「寒さで傷まない」という温度ではないということですね。

熱帯性の植物は最低気温5℃前後というものが多いものです。私たちがストーブやブランケットが恋しくなるころ、植物たちも寒がっているかもしれないな、と思うとちょうどいいかもしれません。温かいお部屋に入れてやって、元気に育てて下さいね。


晩夏・大暑・第三十四候「桐始結花(きりはじめてはなむすぶ)」

お久しぶりです。二十四節気と七十二候についてお届けするこのページ、7月26日の今日は「晩夏」の「大暑」なかでも「桐始花結」にあたります。

二十四節気の「大暑」は文字通り一年で一番暑さの厳しく感じられる頃です。時々大雨が降り、蒸し暑くなります。鰻で知られる「土用の丑の日」もこの期間中にありますし、暑気払いと称してビヤガーデンなどでの集いもひときわ賑やかになる時節です。土用の丑については後程詳しくご紹介します。

 

第三十四候 「きり はじめて はな むすぶ」

桐の花が開くのは初夏です。薄紫色の花は盛夏を迎える今頃、卵型の実を結びます。花を見たことがないという方も、500円硬貨で意匠された釣鐘型の花はご存知ではないでしょうか。

この桐という植物は、古来より神聖な木とされ、神様の行事や大切な場面で用いられてきました。日本国政府の紋章も「五七の桐」ですので、その思いが込められているのがよくわかります。仏教とともに日本に中国から伝来した伝説の霊鳥、鳳凰はこの桐の木にだけ止まると言い伝えられていることでも有名です。神聖な木として伝統的に受け継がれてきた背景から、花言葉は「高尚」です。

そんな桐にちなむ七十二候の第三十四候ですが、期間としては7月22日から27日頃をさします。2019年の土用の丑は7月27日ですので、ちょうどこの候にあてはまりますね。というわけで冒頭に紹介しました土用の丑の日や鰻についても、ご紹介致します。

まず、土用は立夏・立秋・立冬・立春の直前約18日間の期間をさす言葉です。昔の暦では日にちを十二支で数えていましたので、「土用の丑の日」は「土用の期間に訪れる丑の日」をあらわしています。いずれも季節の変わり目にあたり、特に夏は体調を崩しやすいため、夏のイメージが定着していったようです。

7世紀から8世紀に編纂された「万葉集」にはこんな歌があります。

「石麻呂に 吾れもの申す 夏痩せに よしといふものぞ むなぎ(鰻)とり召せ」

大伴家持(ootomonoyakamochi)

夏痩せには鰻を食べると良い、と石麻呂という人物に勧めている歌です。

鰻にはビタミンAやビタミンB群など疲労回復や食欲増進に効果的な成分が多く含まれています。万葉の時代からこの令和元年に至る今日まで、鰻は日本人に愛され続けてきた食材なんですね。ちなみに土用の丑の日に鰻を食べる風習は、蘭学者の平賀源内によって広められたそうです。

今年の土用の丑の日は明日(7月27日)です。皆さんも夏バテ防止に鰻、いかがでしょうか。

 

 


24節季72候のお話 「夏至」 「小暑」 編

先日の地震と大雨には、本当に不安な日々を過ごしました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

今日は大阪は快晴のところが多いようです。梅雨明けが発表され、夏の盛りへ向かい始めるエネルギッシュな季節です。蝉の鳴き声も本格化してきました。気が重い天災の余波は拭いきれませんが、体の調子を整えつつ、日々の暮らしを見直しながら、夏への準備をしていきたいものです。

 

さて、このページでは、日本古来の暦に沿った季節の行事ごともご紹介しています。6月最後の日には各地の神社で「夏越の祓(なごしのはらえ)」が行われました。茅で作った輪をくぐり、けがれを祓う行事です。茅の輪は、まず輪をくぐって左に回り、次は右回り、最後にもう一度左に回って境内に入ります。茅の輪の茅を一本引き抜き、輪を作って持ち帰ると夏の災厄を避けられるといわれています。

 

そして、夏至の末候は「半夏生ず」でした。半夏(はんげ)とは夏至から数えて11日目の雑節を指します。この時期に生える薬草を半夏生と呼びます。昔から農作業の大事な節目とされ、このころまでに田植えを終えるのが習わしとされていました。関西ではこの日にタコを食べる風習がありますね。これも「タコの足のように稲がしっかり根を張るように」との願掛けがルーツのようです。

 

【夏至】

第二十八候 6月21日~6月25日 「夏枯草枯る(なつかれくさかるる)」

第二十九候 6月26日~7月1日 「菖蒲花咲く(あやめはなさく)」

第三十候 7月2日~7月6日 「半夏生ず(はんげしょうず)」・・・

 

【小暑】

第三十一候 7月7日~7月11日 「温風至る(あつかぜいたる)」

第三十二候 7月12日~7月16日 「蓮始めて開く(はすはじめてひらく)」

第三十三候 7月17日~7月22日 「鷹技を習う(たかわざをならう)」・・・

 

 

今後もこのページでは「24節気72候」について随時紹介していきたいと思っています。風情季節感ある感性をお伝えできますように。


24節気72候のお話 「小満」 「芒種」 編

今日5月27日の24節気は「小満」です。

「万物しだいに長じて天地に満ち始める」時季であり、前年の秋に植えた麦が成長して穂を実らせると一安心、少し満足。その意味で「小満」とされています。稲作中心の私たち日本人にはあまり知られていないことかもしれませんが、麦は秋に植えられ初夏に刈り入れられます。農耕民族にとって、農作物の出来不出来は死活問題。「小満」という言葉には、昔の人々の生活、ひいては気持ちのありようが、自然とともにあったことがよく表れている気がしませんか?

さらに細かい72候は「紅花栄」です。

ベニバナは、古代エジプト時代から染料として栽培されてきた植物です。日本でもすでに万葉集の中で「末摘花(すえつむのはな)」の名で登場しています。紫式部の源氏物語の姫君の名前としても登場しますね。咲きながら黄色の花が次第に紅色へと変わっていく姿は、古来より恋心にも例えられてきました。

雨が少なく過ごしやすい時季ですが、梅雨を目前に天候が先走るようにぐずつく「走り梅雨」となることがあります。6月1日は衣替えです。それまでに夏の準備を少しずつがんばって始めて行きましょう!(今日は蒸し暑く、今年初めてサーキュレーターで風を送りながら執筆中です。)

 

【小満】

第二十二候 5月21日~5月25日 「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」

第二十三候 5月26日~5月30日 「紅花栄(べにばなさく)」

第二十四候 5月31日~6月4日 「麦秋至(むぎのときいたる)」・・・

 

【芒種】

第二十五候 6月5日~6月9日 「蟷螂生(かまきりしょうず)」

第二十六候 6月10日~6月15日 「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」

第二十七候 6月16日~6月20日 「梅子黄(うめのみきばむ)」・・・

 

 

今後もこのページでは「24節気72候」について随時紹介していきたいと思っています。風情季節感ある感性をお伝えできますように。


24節気72候のお話 「清明」 「穀雨」 「立夏」 編

今日5月14日は立夏です。

夏のはじまりの時期で、春分と夏至の中間にあたります。

三月上旬の「啓蟄」の候で、土中で越冬した生き物が動き出す時期と紹介しましたが、第二十候では「蚯蚓出る(みみずいずる)」という候が出てきます。確かに、このころに花壇や畑の土を耕すとたくさんのみみずに出会います。

皆さん夏野菜の苗は植えましたか?お庭の一角で夏野菜を育てる家庭もたくさんあるようです。育てやすいミニトマトやナス、ピーマン。グリーンカーテンにも向くゴーヤやキュウリ。変わり種としてはトウガラシやミョウガ、ラッカセイなどなど。深めのプランターで手軽に育てることも出来ます。この時期ならではの楽しみです。

本格的は衣替えや暖房器具の片づけ、夏の入口を感じる季節です。日が長くなり、日ごときつくなる日差しによる紫外線を浴び、夕暮れ時の涼しさにほっとするという季節のお訪れです。

 

【清明】

第十三候 4月4日~4月8日 「玄鳥至(つばめきたる)」

第十四候 4月9日~4月13日 「鴻鴈北(こうがんかえる)」

第十五候 4月14日~4月19日 「虹始見(にじはじめてあらわる)」・・・

 

【穀雨】

第十六候 4月20日~4月24日 「葭始生(あしはじめてしょうず)」

第十七候 4月25日~4月29日 「霜止出苗(しもやんでなえいずる)」

第十八候 4月30日~5月4日 「牡丹華(ぼたんはなさく)」・・・

 

【立夏】

第十九候 5月5日~5月9日 「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」

第二十候 5月10日~5月14日 「蚯蚓出(みみずいずる)」

第二十一候 5月15日~5月20日 「竹笋生(たけのこしょうず)」・・・

 

今後もこのページでは「24節気72候」について随時紹介していきたいと思っています。風情季節感ある感性をお伝えできますように。


24節気72候のお話 「啓蟄」「春分」編

いよいよ3月も終わりです。本格的な春の到来、日増しに強くなる日差しを感じます。全国的に桜の開花が進み、今週末にはお花見のピークを迎えるところも多いのではないでしょうか。一年で最もウキウキする時期ですね。一方で、学校や職場での送別や転居など、現代では生活の変化が多く、心と体がアンバランスで不安定な状態にもなりやすい季節です。そんな時には立ち止まって深呼吸を。昔からの日本人の知恵や感性に、はっとさせられることも少なくありません。

このページでは、そんな季節の移り変わりと日本の風土、暮らしなどについて「24節気72候」という暦日に着目してご紹介しています。

ところで春分といえば「春分の日」。3月21日は祝日でした。秋分と同様に昼と夜の長さが同じになる日「春分の日」「秋分の日」を中日として、その前後3日を「お彼岸」と言います。この「お彼岸」のいわれについて、正確に説明できる日本人は意外に少ないようです。みなさんはいかがでしょうか?

まず、「お彼岸」は「雑節」と呼ばれる特別な暦日に含まれます。「雑節(ざっせつ)」とは、24節気や5節句などの暦日の他に、季節の移り変わりをより的確につかむために設けられた特別な暦日のことです。(ほかに節分、半夏生、土用など全部で9つあります。)

仏教では私たちの住む世界をこちらの岸(此岸:しがん)、三途の川を挟んでご先祖の住む世界をあちらの岸(彼岸:ひがん)、と考えます。極楽浄土は西の方にあるとされているため、太陽が真西に沈む春分・秋分にお墓参りや先祖供養を行うようになったと言われています。これは本来の仏教にはない日本独自の風習だそうです。昔から先祖崇拝や自然の豊作に感謝してきた日本らしい文化が影響している気がしますね。

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があります。これは単に気候について言っているのではなく、彼岸の頃は、迷い煩悩に惑わされている人間が悟りの世界と通じる時でもあるということを表しているそうです。暑さ寒さやそれに伴うさまざまな辛さも、このころには和らいで楽になるよ、という励ましの意味がこめられているそうです。なんだか優しい気持ちになる言葉だと思います。

 

【啓蟄】

第七候 3月5日~3月9日 「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」

第八候 3月10日~3月14日 「桃始笑(ももはじめてさく)」

第九候 3月15日~3月19日 「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」・・・

 

【春分】

第十候 3月20日~3月24日 「雀始巣(すずめはじめてすくう)」

第十一候 3月25日~3月29日 「桜始開(さくらはじめてひらく)」

第十二候 3月30日~4月3日 「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」・・・

 

今後もこのページでは「24節気72候」について随時紹介していきたいと思っています。風情季節感ある感性をお伝えできますように。


24節気72候のお話 「立春」「雨水」編

1月は行く 2月は逃げる 3月は去る・・・

 

新年を迎えてからあわただしく過ぎる三か月をそのように表現しますが、これはなかなかうまく表現しているなあと思いますね。

関東でエドヒガンが開花する今頃、造園や園芸の世界では本格的な春のオンシーズンに入ると言われます。日が長くなり、日差しが春めく3月。まさに春の訪れを感じますが、実は暦の上では春は2月4日の立春からスタートしています。

2月には節分という年中行事がありますが、厳密には立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれの前日すべてが節分に当たります。江戸時代以降は立春(2月4日)の前日が節切月日の大晦日として一般的となり、日本全国に豆まきのような伝統が残っていますが、本来はまさに季節を分け目が「節分」だったわけです。

(余談ですが、2月3日の節分になぜ豆を投げるのでしょうか?穀物には生命力と魔除けの呪力が備わっているという信仰に「魔目」「魔滅」の語呂合わせで一年の無病息災を願うという意味合いが込められているそうです。)

冬が終わり、徐々に春が始まる立春。旧暦ではこの立春から1年は始まるとされており、ここを正月としていました。冬と春の分かれる節目、節分の翌日。いわば春の初日なのです。寒さのピークだからこそ、春のスタートであるという考え方。これは中国で誕生した「24節気」の考えに基づいています。24節気はさらに1年365日を5日ずつに分け「24節気72候」というように分けられます。それぞれの候にはその時期独特の気候を言い当てた情緒ある表現があります。

(参考文献:晋遊舎ムック 七十二候がまるごとわかる本)

【立春】

2月4日~2月7日 「東風凍を解く」

2月8日~2月12日 「うぐいす鳴く」

2月13日~2月17日 「魚氷にあがる」・・・

 

【雨水】

2月18日~2月22日 「土が潤い起る」

2月23日~2月27日 「霞始めてたなびく」

2月28日~3月4日 「草木萌え動く」・・・

 

今後このボタニカル研究所のページではこの24節季72候についても随時紹介していきたいと思っています。風情季節感ある感性をお伝えできますように。